思い出せない消えていった過去達を断片的に繋ぎ合わせて夢を見る脳。
登場人物も場所も その時なにをしていたかさえも本人は覚えていないのに夢を見る。
パズルのような過去の夢。
脳の中で何かを整理するかのように夢を見る。
働く私を夢を見る。
病院で働く私を夢を見る。
感情失禁の患者さん
左阪神麻痺の患者さん
認知症の患者さん
寝たきりの患者さん
言語障害の患者さん
体や指や足や あちこちが硬縮している患者さん
硬縮がひどくならないようにとリハビリしたりガーゼを巻いたり、動かしたり
言語障害をもっていても、感情失禁でも少しでもたくさん話しかけたり ホワイトボードで字を書く練習を一緒にしたり
歩く練習一緒にしたり
痛そう
辛そう
毎日 ベッドの上でなにが楽しい?最後の瞬間まで生きる喜びを!
私のいる病棟は 家庭介護不可(拒否もある)の患者さん。
寝たきり、話も出来ない、自分で動くこともできない、自分で食事を取ることも排便も意志を伝えることもできない。あとは 家族の意志。その時が来るのを複雑に絡み合った中で待つ。
…………………。
目が覚めた私は、記憶の断片とも言えるよーな脳が見せた夢に浸る。
あのころは あの頃で必死に患者さんのためにと 働いていたけど、今 こーなった私自身 患者さんを 理解してなかったことも たくさんあったなと。
これから もし現場に戻れることがあるなら もっと患者さんの立場にたてることができるかもしれない。
もっと家族の気持ちを理解することが出来るかもしれない。
そんなことも思ったり
あの硬縮していた手がよみがえって、今 動かない右手が いつか あんな風になるのかも知れないと恐怖におびえたり
感情失禁の患者さんのような私がいたり
認知症の患者さんのような私がいたり
ああ…確か重度の高次脳機能障害の患者さんもいたっけ…と
それに近いのが私かと 患者さんに自分を重ねてみて あのとき 他の職員達 なんて言ってたっけ?って…
たかが脳が見せた夢。
記憶の断片かも知れない でも 脳が感情の整理をしただけかも知れない。
でも、ひっかかるくらいリアルな夢。
思い出したいのに思い出せない記憶みたいな 脳が見る夢。